刑事弁護ブログ

2017.02.15 刑事弁護コラム

医療観察法って何?

報道等で,不起訴,あるいは無罪となった事件で,その後に医療観察法に基づく申立てがなされたという記事を目にすることがあるかも知れません。

医療観察法の正式名称は,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」というとても長い名称です。医療観察法は,精神障害により心神喪失等の状態であると判断された対象者について,刑罰ではなく,医療を施すための手続等を定めた法律です。
医療観察法は,刑事事件と密接に関係する場合があります。例えば,逮捕・勾留された事件を担当していると,精神障害の影響で事件を起こしてしまったような場合もあります。そのような場合,検察官が鑑定を精神科医に依頼し,その結果を踏まえて,刑事事件としては不起訴にし,その上で,医療観察法の申立てを行う場合があります。弁護人は不起訴になった段階で,その役割を終えますが,その後,医療観察法の手続きでも弁護士が付添人となって対象者のために活動したり,相談にのることがあります。

医療観察法の手続きでは,原則2ヶ月の期間内に,鑑定を行い,精神科医等の専門的意見も踏まえて,①入院,②通院,あるいは③処遇しない,等の判断を行います。
なお,法律の目的にも,「継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行う」とありますが,単に入院させて隔離するのではなく,社会復帰を目指すための適切な医療が提供されるように運用されなければなりません。

法律事務所シリウス 弁護士 菅 野  亮