刑事弁護ブログ

2017.05.31 刑事弁護コラム

証拠開示の重要性

刑事裁判では,証拠に基づいて事実が認定されます。したがって,どのような証拠を裁判に提出できるかということが,決定的に重要です。
証拠には様々な種類がありますが,大雑把に分ければ,証拠書類,証拠物,証人等の証言ということになります。

警察や検察といった捜査機関は,裁判を始める前に,様々な証拠を収集します。大きな事件になればなるほど,細かい証拠も漏れなく集めようとします。
捜査機関が集めた証拠の中には,依頼人にとって有利なものが含まれていることも多くあります。そのため,弁護人は,捜査機関の集めた証拠の内容を可能な限り確認する必要があります。
しかし,弁護人は,当然には捜査機関が集めた証拠すべてを見ることはできません。捜査機関が集めた証拠の内容を確認するためには,弁護人から証拠開示の請求を行わなければなりません。

こうした証拠開示を十分に行わなければ,依頼人にとって有利な証拠を見過ごしたまま,裁判を迎えてしまうことになります。その場合,依頼人にとって不利な事実を認定される危険が大きくなり,不利益は重大です。
刑事弁護人としては,検察官に対して徹底的に証拠の開示を求め,依頼人にとって有利な証拠を見逃さないようにすることが非常に重要です。
大きな事件では,開示を受ける証拠も膨大になりますが,1つ1つの事件で十分な証拠開示を怠らず,しっかりと取り組んでいきたいと思います。

法律事務所シリウス 中井淳一