刑事弁護ブログ

2017.07.05 刑事弁護コラム

そもそも証拠って何ですか

証拠という言葉は日常用語としてもつかわれることがあり、一般の方にもなじみのある言葉だと思います。一般的には、物的証拠といわれるような、事実を裏付ける物を想像する方も多いのではないでしょうか。
法律の世界では、もっと広く「証拠」という言葉を使います。たとえば、目撃者などの人の話を記録した書類や、捜査機関が作った書類も証拠といいますし、裁判での証言や、被告人自身の話も証拠といいます。裁判の結果が有罪なのか無罪なのかは、法廷に現れたすべての「証拠」を裁判官や裁判員が総合的に評価して決めます。ですから、証拠があるかないか、というよりは、個別の証拠をどう評価するかのほうが重要になることが多いのです。この証言は信頼できるものかとか、この証拠からどういう事実が確定できるのかとか、そういった証拠評価のプロセスが裁判の結論を左右します。
そこで、弁護人は、法廷に現れた証拠をどのように評価するか、そして、それがどのように無罪に結びつくのかを説得的に論証することが求められるのです。

東京ディフェンダー法律事務所 山本衛