刑事弁護ブログ

2018.05.30 刑事弁護コラム

スポーツ中に怪我をさせてしまったら傷害罪?

スポーツをしている最中に、相手に怪我をさせてしまう、ということは少なくありません。

野球中にボールをぶつけてしまう、サッカー中に足を蹴って怪我させてしまう、ボクシングで殴ってしまうなどなど。

 

傷害罪になって逮捕されてしまう?

損害賠償請求をされてしまう?

いろんなことを心配される方もいると思います。

あるいは、「スポーツ中のことだから大丈夫」と軽く考える方もいるかもしれません。

 

日常生活の中で、意図的に人を殴って怪我をさせれば傷害罪が成立します。

それに対し、ルールにのっとって試合をしていた中で怪我をさせてしまったという場合には、通常は、「違法ではない」ということで、傷害罪で裁判になるようなことはありません。

ただ、スポーツ中の行為であっても、意図的に「怪我をさせてやろう」と思って怪我をさせた場合や「怪我をするかもしれないけどそれでもいい」と思って怪我をさせた場合には、傷害罪が成立する、として処罰を受けることもあります。

さらに、監督やコーチが、相手に意図的に怪我をさせるよう指示した場合には「共謀共同正犯」(きょうぼうきょうどうせいはん)や「教唆犯」(きょうさはん)といって、怪我をさせた人と同じように、あるいは、させた本人以上に重い処罰を受けることがあります。

 

また、民事で損害賠償請求をされることもあります。

刑事的な責任を負わない(処罰はされない)と判断された場合でも、民事上の損害賠償請求が認められることはあります。

 

「スポーツ中の行為だから大丈夫」と安易に考えることは危険です。

スポーツはルールを守って行い、もしそれでも怪我をさせてしまった場合には早めに弁護士等に相談してみてください。

 

東京ディフェンダー法律事務所

弁護士 久保 有希子