刑事弁護ブログ

2018.06.20 刑事弁護コラム

強制性行等罪は親告罪ではないから示談しても意味がないのでしょうか

刑法の一部が改正され,かつては「強姦罪」等と規定されていた罪について,構成要件及び法定刑が改められ,新たに「強制性行等罪」が規定されることとなりました(刑法177条,平成29年7月13日施行)。
上記改正に伴い,強姦罪等を親告罪とする規定も削除されています(なお,改正法施行前の行為についても,施行時に既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き,非親告罪として取り扱うこととされています。)。
したがって,「強制性行等罪」について起訴前に示談したとしても,以前のように法律上間違いなく不起訴になるということはありません。
しかし,性犯罪については,被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり,事件の処分等に当たっても被害者の心情に配慮することが必要であることは,法改正により変わるものではありません。したがって,被害者と示談し,被害者が真に訴追を望まない意思を表明しているような事件では,検察官が被害者の意思を尊重して不起訴処分にすることは十分にあり得ます。
したがって,示談しても意味がない,ということはないと思います。
また,起訴されたとしても,示談ができている事件とそうでない事件とでは,量刑に大きな差が出てきますので,その意味においても示談は重要だといえます。

法律事務所シリウス
弁護士 菅  野   亮