最近の刑事裁判では,防犯カメラの画像が証拠となることが,急速に増えてきています。近年,防犯カメラは,様々な場所に設置されており,事件の状況や,事件前後の関係者の行動が映っていることは珍しくありません。
そのような場合,防犯カメラの画像は,非常に有力な客観的証拠となります。
ただ,気を付けなくてはならないのは,防犯カメラの画像から,どこまで正確な判断が可能かという点です。
防犯カメラで撮影された画像がどの程度鮮明なものかというのは,カメラの種類によって大きく異なります。中には,それ程鮮明な画像が残らないものもあります。
そのような場合,防犯カメラに映った犯人の顔だけから,それが誰であるかを特定できるかは難しいこともあります。まして,犯人がマスクや眼鏡をしているような場合には,特定はますます難しくなります。
実際の刑事裁判では,不鮮明な防犯カメラ画像が,犯人の証拠として用いられることも少なくありません。しかし,犯人の顔の大体の特徴や輪郭などは判断できるとしても,特定の「誰か」であることまで,不鮮明な画像から判断することは,誤判の危険も否定できないところだと思います。
法律事務所シリウス 中井淳一