小学校や中学校に法教育の授業に伺うと、「なぜ悪い人の味方をするんですか?」という質問をいただくことがあります。
いたって自然な疑問だと思います。
そんなときは、このように答えています。
「まず、悪いことをしたかどうかは分かりません。やってもいないことで逮捕されることは決して少なくないんです。やっていないことで裁判になったり、処罰されたりしないよう、逮捕された人をサポートするのが1つめの役割です。
それと、本当に悪いことをしてしまった人にも弁護士のサポートは必要です。やってしまったことについてはちゃんと処罰を受ける必要はあるけれど、やってしまったこと以上の重たい処罰にならないようにしなければなりません。検察官は、被告人にとって刑を重たくする事情を説明する立場なので、それだけだと重くなりすぎるそれかもしれません。ですから反対に弁護人は刑を軽くする事情も反映してくださいと説明する立場です。両方を踏まえて、裁判官に適切な処分を決めてくださいね、というのが刑事裁判の仕組みです。三者が役割分担しているんです。」
ざっくりした説明なので、ちょっと不正確なところもあるかもしれません。
「やっていません」と主張している方の弁護を行うことについては理解されても、「やった」と認めている方の弁護を行うことについては、なかなか理解が得られない面もあります。
ただ、弁護士は、「やったことに見合う処罰が科せられるのが正義だ」という考えのもとで活動しているのであって、単に「悪い人の味方をしている」ということではありません。
東京ディフェンダー法律事務所
弁護士 久保 有希子