窃盗を繰り返してしまう方がいます。食べていけないために常習的に窃盗を繰り返して刑務所に入ることを繰り返してしまう方というのもいらっしゃるのですが、中には、きちんとした経済的な基盤や家庭、仕事などがあるにもかかわらず、刑務所に行くというリスクに見合わない窃盗行動(典型的には、万引きです)を繰り返してしまう方もいらっしゃいます。
後者のような方で、そうした窃盗行為が反復継続することを自分の意思で辞められない、という方は、衝動制御障害、窃盗症といった精神疾患が疑われます。万引きを行う目的が、万引きしようとする物ではなく、万引きを行ったときの高揚感や達成感などになっていき、万引きを行うことそれ自体が万引きの目的となっていくのです。
こうした方々も、もちろん刑事事件の責任を問われるときがあります。事案は簡単な万引きですが、本人が本当に精神疾患を有しているのかという点は精神医学に関わる困難な問題ですし、また、執行猶予中の再犯のケースなど、量刑的にも難しい弁護活動が求められる事案も少なくありません。
こうした事件の弁護を担当した場合には、きちんと専門家に相談してご本人の精神疾患の有無について判断をしたり、本人にあった治療に繋げることが重要です。そして、それを弁護人が的確に検察官や裁判官に伝えることが必要不可欠です。弁護人にも、高い技量が求められます。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 山本衛