否認,つまり事実関係を争っている場合には保釈が認められにくいのではないかという質問をよく受けます。
いいえ大丈夫です,といいたいところですが,残念ながらそういう傾向があります。保釈は,被告人が証拠隠滅を図るだろうと相応に疑われる場合には認められません。否認事件では,被告人は無罪を主張しているわけですが,無罪になるために関係者と口裏合わせをしたりするのではないか,と裁判所が疑うことがあるのです。
私自身,そして多くの弁護士は,これは正しくないと思っていると思います。もし否認していることで保釈が認められなくなってしまったら,実際は無実の人も,解放されたいがために虚偽の自白(つまり,認めるという嘘をついてしまう)をしてしまうことにつながると思います。
このような問題について正確に依頼人にご説明し,正しい判断をしてもらうのも,弁護人の重要な役割だと思います。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 山本衛