取調べの「可視化」という言葉を随分と耳にするようになりました。簡単に言えば,取締室における取調べの様子を録音・録画して,不適切な取調べが行われていないか等の問題を事後的に検証できるようにする取り組みです。
取調べの可視化の試みは,裁判員裁判が開始した平成21年頃から徐々に実施されるようになり,検察庁における一定の罪名の事件(2016年の刑訴法改正により,2019年6月から可視化が義務化されている事件)の取調べに限れば,平成29年度では全事件の96.2%で録音・録画が実施されているようです。
ただ,「全面可視化」というには,まだ不十分であり,在宅の被疑者の取調べや,参考人の事情聴取など,可視化の必要性が強く認められながら,未だ録画・録画が徹底されていない類型も多くあります。
刑訴法は今後も見直しが行われることになっていますので,さらなる可視化の拡大が求められます。
法律事務所シリウス 虫本