刑事弁護ブログ

2019.09.25 刑事弁護コラム

なぜ,「供述調書」に署名・押印を求められるか

警察,検察から取調べを受けると,話した内容を警察,検察が「供述調書」という書面にまとめます。
そして,警察,検察からは,この供述調書に署名・押印するよう求められます。
それは,供述調書に署名もしくは押印をしてしまうと,その自分の供述調書は裁判になったときに原則として証拠能力が認められるという刑事裁判のルールになっているからです。
また,署名・押印した自分の供述調書は,裁判でその内容の信用性を争うことも困難です。

実際の取調べにおいては,警察,検察が本人の認識や事実と異なる供述調書の文章を作成する,署名・押印するよういわれて仕方なく応じてしまうといったことは,多く行われるのが現状です。
しかし,裁判になって,自分が署名・押印してしまった供述調書について,内容が間違っている,不正確であるとして,証拠とすることやその内容の信用性を争うことは困難です。

取調べを受けて警察,検察が供述調書を作成するのに対して,署名・押印をすること自体,義務ではなく拒否できるものです。
取調べを受けることに対しては,早期に弁護士から適切なアドバイスを受けて,自分の認識や事実と異なる供述調書が作成され,それに対して署名・押印してしまわないようすることが重要です。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾