法律事務所のホームページなどの中には，「刑事専門」ということを売りにするホームページがあります。もちろん，刑事専門弁護士事務所の中には優れた弁護活動をする事務所がありますし，当ウェブサイトでも刑事事件ばかりを取り扱う事務所をたくさん紹介しています。他方で，当ウェブサイトに紹介している法律事務所や弁護士の中には，刑事事件ばかりでなく民事事件や企業事件などもたくさん取り扱っている弁護士がいます。そうした弁護士の中にも，優れた刑事弁護活動をする弁護士がたくさんいます。
反対に，ホームページなどでは刑事事件専門を語りながら，その内実には疑問を持たざるを得ない法律事務所があることも確かです。
ここでお話ししたいのは，刑事事件ばかりやっているから優れた刑事弁護士だとは限らないという点です。刑事事件の中には，あまり専門的知識を必要としない事件もあることは確かです。そういった事件を中心に経験を積んでも，あまり刑事弁護の技能が伸びることはありません。
他方で，重大事件や裁判員裁判，公判で無罪を主張する否認事件などは，１件を取り扱うだけでも弁護技術は大きく向上させます。
重要なのは，刑事事件だけを扱っているかどうかではなくて，その弁護士が，どういう刑事事件を取り扱い，困難な１件１件にどれだけ真剣に向き合っていたかなのです。難しい事件に真剣に向き合ってこそ，刑事弁護の技術は向上するのです。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士山本衛