刑事裁判にかかわる「通訳」には、大きく分けて3種類います。
・捜査機関が依頼する通訳人(取調べ等で通訳)
・弁護人が依頼する通訳人(接見で通訳)
・裁判所が依頼する通訳人(法廷で通訳)
これらの通訳人は、統一した名簿があるわけではありません。
弁護人は別件でお願いしたことがある通訳人に依頼したり、弁護士会から紹介された通訳人に依頼したりします。
都合が合わなかったり、依頼者との言語の相性が合わなかったり等の事情がある場合には複数の通訳人に依頼することもあります。
捜査機関の通訳人に問題がある場合には、交代するように申し入れることもあります。
ただ、裁判所の通訳人は、一度選任されるとほぼ代わることはありません。
裁判所は事件の難易度で通訳人を決めているそうです。
たとえば裁判員以外の事件で、事実関係を認めている事件よりは、裁判員で、事実関係を認めている事件の方がより難易度が高い、という位置づけになります。
法廷通訳の仕事はそれ自体、専門的で非常に難易度が高く、また、報酬も決して高くはないそうですから、大変なお仕事だと思います。
他方で、依頼者にとっては人生にかかわる重要な裁判で、どのような通訳がどのように通訳をしてくれるか、は非常に重大な問題です。
もし、ご自身やご家族の裁判で選任された通訳人や接見・取調べ等の通訳人とうまく意思疎通できないときには、弁護人にしっかりと伝えるようにしてください。
東京ディフェンダー法律事務所 久保 有希子