刑事弁護ブログ

2021.01.26 刑事弁護コラム

法廷以外の場所で行う証人尋問(ビデオリンク方式)

2020年10月,国会議員が被告人となった刑事裁判で,初めて,裁判が行われている裁判所建物と別の場所にいる証人に対する証人尋問が実施されました。
この証人尋問は,法廷と別の場所との間で,映像と音声をつなぐ「ビデオリンク方式」を使って実施されました。「ビデオリンク方式」自体は,既に2001年から導入されていましたが,これまでは,証人は裁判が行われている建物までは出頭する必要があり,その裁判所の建物内の別室で尋問が行われるという方法がとられていましたが,2016年の刑訴法改正により,同じ裁判所の建物以外でもビデオリンク方式による証人尋問が実施できるようになりました(刑事訴訟法157条の6第2項)。
なお,法律上は「同一構内以外にある場所であつて裁判所の規則で定めるもの」となっており,具体的な場所は規則で定めるとされていましたが,最高裁は「刑事訴訟規則等の一部を改正する規則」(2018年1月15日公布)により,「同一構内以外にある場所」とは、「(ビデオリンク方式での)尋問に必要な装置の設置された他の裁判所の構内にある場所」とすることが明記されました(改正刑訴規則107条の3第1項)。そのため,現在の規則のもとでは,裁判所以外の建物での「ビデオリンク方式」での尋問は認められていないということになります。

法律事務所シリウス 虫本