弁護人が保釈請求をすると,裁判所は,検察官に意見を求め,その意見が提出された後に,保釈の判断をします(その判断前に検察官の意見を閲覧等した上で裁判官と面談することが多いです。)。
保釈は,起訴後にしかできません。例えば,木曜日の夕方(午後5時過ぎ)に起訴された事件では,即座に弁護人が保釈請求しても,木曜日中に,検察官から意見が戻ってくることはありませんし,そもそも,裁判所が5時以降,検察庁に意見を求めることをしていない場合もあります。
そうなると,せっかく木曜日の夜に保釈請求をしても,裁判所が検察官に意見を求めるのは金曜日の午前中となります。もし,担当検察官がいないなどの事情があると,金曜日に保釈の判断がなされず,結局,土日の間に意見が戻ってくることもありませんし,裁判所の保釈に関する判断は,翌週の月曜日以降ということになります(弁護人から検察官に早く意見を出すように求めていきますが,検察官が即座に意見を出すわけではありません。)。
検察官の意見が金曜日に提出された場合,その後に裁判官が保釈を許可し,保釈保証金を納付できれば,金曜日中に被告人は保釈されます(保釈保証金を裁判所に納付すると検察庁にも連絡が行き,検察官が釈放指揮しますが,保釈保証金納付後,ほどなく釈放されます。)。
問題は,金曜日の夕方,保釈許可がされたが,裁判所が通常どおりやっている金曜日の五時までに納付できない場合,結局,翌週月曜日以降にしか保釈保証金を納付できないのかです。
まず,金曜日の午後5時を過ぎる場合でも,例えば,弁護人が担当書記官に対して午後7時までには納付できるので待っていて欲しいなどと伝えておくことで,午後5時以降でも保釈保証金の納付が認められる場合はあります(連絡等しておかなければ当然担当書記官は帰宅してしまいますので保釈保証金の納付はできません。)。
裁判所は,土日でも令状等の限られた業務を行うために必要最小限の職員はいますので,どうしても保釈保証金の納付が金曜日には間に合わないが,土曜日あるいは日曜日には納付できるという場合は,金曜日にその旨を伝え,当直に保釈保証金を持っていくこともあり得ます。
平日,裁判所がやっている午後5時までに保釈保証金を持参することが原則ですが(実際は,会計の関係で午後4時よりも前にして欲しいと言われます。),どうしてもその時間帯に間に合わない場合には,交渉次第で,夜間・土日においても保釈保証金の納付等ができる場合もあります。
弁護人として,1日でも,そして,1時間でも早く釈放させてあげたいと考えて常に活動していますが,裁判所のやっている時間,人員の関係もあり悩ましいです。
法律事務所シリウス 弁護士 菅 野 亮