裁判所が保釈を許可する場合にも,指定条件を付すことがほとんどです。「保釈条件」とも呼ばれています。「召喚を受けたときは必ず定められた日時に出頭しなければならない」「海外旅行または3日以上の旅行をする場合には,前もって,裁判所に申し出て許可を受けなければならない」といった条件の他,具体的な人名を挙げた上で「その他本件事件関係者に対し,直接又は弁護人を除く他の者を介して面接,通信,電話等による一切の接触をしてはならない」といった接触禁止条項が加えられることが一般的です。
保釈条件に反したことが明らかとなった場合,裁判所は保釈を取り消し,保釈保証金を没取することができます。検察官から保釈の取消しが申し立てられ,裁判所が判断するという流れが一般的です。そして保釈条件に反した場合,よほどやむを得ない事由あると言えない場合,保釈の取消しを回避することは困難です。
もっとも,保釈条件は事後的に変更することが可能です。一番多いのは引っ越しや治療などを理由に保釈中の住居を変更する場合です。また,事件に関係が一切ないとは言えない人物―たとえば被害者の勤務先関係者等に,謝罪のために被告人が直接面会する必要がある,というケースもあります。このようなケースでも,弁護人がその面会の場に立ち会うことを条件に,保釈条件の変更が認められることはあります。その場合は「ただし弁護人等立会の上,謝罪目的で●●と面会する場合を除く」といった形で,条件が追記されます。
保釈中も当事者の行動が必要以上に抑制されることがないよう,弁護人としても様々な工夫を凝らす必要があります。
東京ディフェンダー法律事務所 赤木竜太郎