刑事弁護ブログ

2021.12.07 刑事弁護コラム

弁護人の冒頭陳述

冒頭陳述とは,公判の冒頭人定質問が終わった段階で,検察官が証拠により証明しようとする事実を述べることを言います。
 公判の冒頭で,それを明らかにすることにより,判断者である裁判官は何を判断すればよいかがわかり,また防御をする側の被告人は,何に対して防御すればよいかが,明確になるわけです。
 冒頭陳述は,立証責任を負う検察官は必ず行わなければなりませんが,弁護側は公判前整理手続が行われていない限り,義務ではありません。
 もともと,弁護側は検察官の立証を見てから,具体的な応訴方針を決めることになり,冒頭で冒頭陳述を行うことが難しいからです。
 しかし,公判前整理手続に付された事件は,証拠開示を経て争点と証拠の整理が行われているので,弁護側も冒頭陳述をする必要があります。

 ただし,公判前整理手続に付されていない事件においても,弁護側の求めで,冒頭陳述を行うことはできます。

 冒頭陳述の効果は,弁護側が明らかにしようとする事実を裁判官に伝えることができます。
 弁護側の反証は基本的に検察官立証が終わってからなので,そこまでずっと弁護側の主張が分からず,検察官の主張立証ばかり裁判官は目にすることになるので,冒頭で弁護側のセオリーを述べておくことが効果的な場合は珍しくありません。
 否認事件で保釈を取りたい場合にも,早期に弁護側のセオリーを明らかにしておくことは有益でしょう。

 
東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也