弁護士は,研究者ではなく,日々事件処理を行う実務家です。しかし,事件処理をする上で様々な専門知識が必要となり,法律分野はもちろん,法律以外の分野の学会に参加して勉強することもあります。
私自身は,法律分野の刑法学会に所属していますし,法とその他の専門領域が交錯する日本司法精神医学会にも所属しています。その他,これまで,日本精神神経学会や法と心理学会等に参加したり,報告をしたことがあります。
コロナウィルス感染症のため,最近の学会は,オンラインで開催されており,各地に出向いて,学会に参加したり,専門分野で活躍する先生方と実際に懇親を深めることができないことは残念です。他方,遠隔地で開催される場合,参加しにくい場合もあるので,オンライン開催やオンデマンド配信があるとかえって参加しやすいところもあると感じています。
2020年11月12日,13日に開催された,第16回日本司法精神医学会も,鹿児島で開催されるので,鹿児島に行くことを楽しみにしていたのですが,WEB開催のため,鹿児島ではなく,事務所から参加することになりました。
第16回日本司法精神医学会では,シンポジウムⅠは,「司法精神医学における自閉スペクトラム症の位置付け」,シンポジウムⅡは,「超高齢社会における高齢者の犯罪」,シンポジウムⅢは,「現代の精神鑑定に求められていること」がテーマで,いずれも大変興味深いシンポジウムで,専門家の先生方のご報告を拝聴させていただきました。また,シンポジウムⅢには,私自身,シンポジストとして登壇し,弁護人の立場から精神鑑定に期待していることなどを報告させていただきました。
学会に参加し,最先端の議論を聞くことだけでも日々の業務に参考になりますし,学会で報告する場合,報告内容を検討する際に様々な調査・研究活動も行うことになるので,自分の活動等をふりかえるよい機会となります。
実務家で事件処理だけしていると忘れがちなのですが,業務に無関係なジャンルでも,優れた研究者の研究成果を聞くことは知的好奇心を満たす大切な経験と感じており,これからも積極的に学会等に参加したいと考えています。
法律事務所シリウス
弁護士 菅 野 亮