法務省が公表している再犯防止推進白書(令和3年度版)によれば、刑法犯の検挙者数は平成16年の389,027件から一貫して減少傾向にあり、令和2年には182,582件と平成16年の半分以下となっています。一方で、再犯者数の割合は、平成16年の35.7%から一貫して上昇傾向にあり、令和2年には49.1%となっています。
全体の刑事事件数が減少する中で、再犯者の割合は増えているという減少の大きな原因として、刑務所出所後に住む場所や頼る人がいないために社会から孤立してしまい、そのことが再び犯罪を繰り返す大きな要因になっているという問題があることが指摘されています。
このような問題を解消するための政策や取り組みのことを「出口支援」と呼んでいます。具体的には、保護観察所や地域生活定着支援センター(各都道府県に設置)等の職員らが、出所者の新たな居住先の確保や必要な福祉サービスの利用を支援しています。
弁護人としての立場は、刑事裁判が終結した時点で失われてしまうため、依頼者であった人が服役を終えて出所した後の生活まで関わるということは現在の制度では一般的とはいえません。ただ、愛知県弁護士会や札幌弁護士会など、出所者に対する弁護士の支援を行うための仕組みを独自の取り組みとして行っている弁護士会もあります。
今後、このような取り組みが広がり、法律によって全国どこでも利用できる制度となっていくことが期待されます。
法律事務所シリウス
弁護士 虫本良和