弁護事件例

2016.06.17 【】

強盗殺人未遂事件において、求刑20年に対し、判決は懲役12年に減刑された事例

減刑
裁判員

事案の紹介

事件は、依頼人が、盗んだキャッシュカードを利用してATMでお金を引き出すとともに、ATMに駆けつけた警備員を襲ってATM内の現金を盗むことを計画し、警備員の首などをナイフで切りつけて全治約10日の怪我を負わせたが、現金をとることはできなかった、というものでした。罪名は、強盗殺人未遂、窃盗、偽計業務妨害、建造物侵入です。

弁護活動

国選弁護人として、捜査段階から受任し、依頼人は当初より殺意はなかったと主張されていました。
公判は裁判員裁判で行われました。
当然のことながら、依頼人とは何度も面会した上で、法廷に臨みました。
弁論では、殺意の考え方や量刑の考え方を踏まえて、依頼人にはどのような刑がふさわしいのかを裁判官・裁判員に説得的に伝えられるよう努めました。
裁判員裁判が始まる前の裁判官だけで行われていた裁判では、予め用意した弁論要旨を読み上げるだけの弁護士が圧倒的多数でした。
また、現在でも、裁判員裁判において、同様の活動を行う弁護士は少なくありません。
しかしながら、ただ読み上げるだけでは十分な説得ができません。
この事件では、結果として、殺意はあったものと認定されましたが、検察官の求刑は20年であったのに対し、判決は12年と減刑されました。