弁護事件例

2016.06.17 【殺人】殺人未遂

殺人未遂が傷害罪で起訴された事例

執行猶予
捜査弁護
否認

事案の紹介

 交際相手から別れを持ち出され,衝動的に包丁で腹部を数回突き刺して全治数ヶ月の傷害を負わせてしまった

弁護活動

 刃物で人の身体の枢要部(大事なところ)を突き刺せば,人が死ぬ可能性高いと思われるのが通常です。従って刃物を用いた事件では殺意があるとされそのまま起訴されることが多いと言えます。
 殺意がなければ傷害罪となりますが,殺人未遂と傷害罪では量刑も大きく異なります。
 今回の事件では,計画的ではなく突発的に刃物を持ち出してしまったこと,事件後我に返りすぐに119番通報していることなどの事情から,必ずしも殺意があったとは言えないと検察官が判断したものと思われます。
 計画的に殺人を行う場合であればともかく,カッとなって衝動的に事件を起こしてしまう場合,実際の本人にとっては一瞬のことで,相手を殺してやろうとか,死ぬかもしれないと冷静に考えているわけではありません。従って法律上殺意があったかなかったかというのはケースごとに判断されますが,行為態様や動機,犯行前後の行動などが判断の要素となるでしょう。
 その後本件は犯行に至る経緯や突発的であったことを考慮し,執行猶予判決となっています。