弁護事件例

2016.06.17 【殺人】殺人未遂

殺人未遂事件において、心神耗弱が認定され、執行猶予判決となった事案

執行猶予
裁判員

事案の紹介

引きこもりの依頼人が、母親の首を包丁で切りつけたり、金づち等で頭を殴りつけたという事件

弁護活動

弁護人としては、依頼人との面会を通じて、何らかの精神障害があり、それが事件に影響しているのではないかと感じました。
しかし、依頼人には、精神疾患での病院への通院歴等もなく、警察官や検察官は、依頼者の責任能力には問題がないと判断していました。
「精神鑑定」とは、なんらかの精神障害が事件に影響していると疑われるような場合に、精神科医に診察や検査等をしていただき、その影響の有無や程度の意見を聞く、というものです。
殺人未遂事件は裁判員裁判の対象事件です。
公判までには、公判前整理手続という、証拠や争点の整理のための手続が複数回にわたって行われます。
その中で、弁護人から、精神鑑定の必要性を裁判所に伝えたところ、精神鑑定により依頼人の精神障害の有無や事件への影響の有無を調べることになりました。
その後、精神鑑定の結果を前提に、弁護人が依頼人が心神耗弱の状態にあったことを主張したのに対し、検察官はそれを否定する主張を維持しました。
その後、手続が進んでいく中で、検察官は、公判に近い時期になって、心神耗弱を争わないという方針になりました。
公判では、精神鑑定を担当した医師の他、臨床心理士の方にも証人尋問を実施しました。
その結果、判決では、心神耗弱が認定され、執行猶予となりました。