事案の紹介
生活苦からホームレスとなっていた依頼者が、無銭飲食をして現行犯逮捕された事例。
弁護活動
担当弁護士は、国選弁護人として受任しました。
依頼者(60代男性)は、仕事を失ってホームレス生活をしていました。空腹から牛丼チェーン店に入り、数百円の定食を注文して飲食した後、店員にお金を持っていないことを告げると、警察に通報され、そのまま現行犯逮捕されました。
検察官としても、被害額の少なさや前科がないことなどから、起訴することは躊躇していましたが、帰る家や身寄りのない依頼者が釈放されても、路頭に迷ってまた犯罪を繰り返すのでは無いかということが危惧されるなどとして、すぐには釈放しませんでした。
弁護人は、市役所の福祉課や不動産業者と協議し、依頼者が釈放された場合にただちに生活保護を受給できる手はずを整え、さらに釈放当日から入居できるアパートを確保しました。検察官に対して、上記の様な準備状況を報告したところ、検察官は、満期よりも早く、依頼者を処分保留として、釈放しました。
弁護人は、釈放された依頼者に同行して生活保護の申請や賃貸借契約を行い、新居となったアパートまで同行しました。
後日、生活保護費を受給した依頼者は、牛丼店への被害弁償を行いました。弁護人は、被害弁償の結果についても検察官に報告し、正式に不起訴処分となりました。