アメリカの法廷ドラマでは,裁判長が「静粛に!」って言いながら,小さなハンマーを叩きますよね。
残念ながら,日本の法廷ではそうした小道具は用意されていません。もしかしたら,日本の裁判官にハンマーを持たせると危険だという判断があったのかも知れません。
では,法廷で修羅場になったらどうするのでしょうか。
あまりそういう現場に多く出くわしたことはありませんが,裁判長から発言を控えるよう命令されてもなお発言をする傍聴者や被告人が出た場合,裁判長は,それらの者の退廷を命じ,刑務官や廷吏が実力行使することもあります。
逆に,裁判長の訴訟指揮があまりに不当だと考えて弁護人が法廷から出ようとする場合,裁判長が「在廷命令」を発することもあります。
ある依頼者の尋問中,裁判長がいきなり尋問途中で打ち切り,突然,検察官に論告を行うように命じた事件がありました。そんなものは裁判でも何でもないと考え,法廷から出てしまったことがありましたが,その時に「在廷命令」が発令されました。そのときは,廷吏も誰も私を拘束して在廷させようとはしなかったので,そのまま帰りました。
ハンマーがあったら,それで叩かれていたかも知れません。
法律事務所シリウス 弁護士 菅 野 亮