依頼人が警察署や拘置所で身体拘束されている場合,自由に物を渡すことはできません。「差入(さしいれ)」という手続を取る必要があります。
では,手続さえ取ればどんな物でも渡せるかというと,そうではありません。
まず,依頼人に接見等禁止決定(弁護士以外との面会や手紙のやり取り等を禁止する決定)が出されている場合には,現金や洋服等の物品は差入が可能ですが,家族などからの手紙等の差入はできないことが通常です。
依頼人に接見等等禁止決定が出されていない場合には,家族などから手紙を渡すこともできます。
また,本や雑誌の差入も通常可能ですが,施設によっては,一度に差入をする冊数に制限がかかっていることがあるので,注意が必要です。
身体を拘束された依頼人は,外界から遮断され,孤独な生活を余儀なくされます。家族などからの差入物品は,依頼人の気持ちを安らげる意味で非常に重要です。弁護活動をしていると,家族などからの差入物品に喜ぶ依頼人の顔がよく見られます。
依頼人の家族などから,差入についての相談を受けた場合には,可能な限り丁寧に説明するよう心がけています。
法律事務所シリウス 中井淳一