自分はやっていない、冤罪である、そう主張して裁判を戦ったのに有罪判決を受けてしまった。裁判は勝ち負けのあることですから、思わぬ結果になってしまうこともあります。その場合、有罪判決に対して「控訴」することになります。つまり、高等裁判所での審理を求め、第一審判決の見直しを求めるのです。
そう聞くと、第一審のような裁判をもう一回行うと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。控訴審は第一審の判決が正しいかどうかを事後的に検討するものであって、審理のやり直しをするものではないと考えられています。
控訴審において重要なのは、なぜ第一審判決がおかしいのか、どうして無罪判決であるべきなのかを詳細に記載した書面(「控訴趣意書」といいます)で裁判所を説得することです。そのため控訴審の弁護活動では、充実した控訴趣意書を作成することが中心になります。控訴趣意書が説得的であれば、裁判所も新しい証拠などを採用することもあります。こういった説得を経て、裁判所が第一審の判決を誤りだと判断した場合には、有罪判決を破棄するのです。
ですから、控訴審の弁護活動では、第一審判決がなぜおかしいのかを分析し、その誤りを的確に、法律に従って主張する必要があります。やみくもにこちらの主張を論じればよいわけではありません。一貫した方針に基づき、有効な弁護活動をするために、刑事弁護に精通した弁護士の選任が望まれます。
東京ディフェンダー法律事務所 山本衛