裁判員裁判では,裁判官3名だけではなく一般市民の方から選ばれた裁判員6名が,裁判の審理にのぞみ,評議の上で評決を行います。
評決では,有罪無罪を判断し,有罪の場合はさらに刑の重さを決めて判決を言い渡します。
評決は,裁判官も裁判員も同じく一人一票であり,①過半数,かつ②裁判官と裁判員の双方の意見を含む必要があります。
有罪無罪の判断では,例えば,裁判官3人全員が有罪という意見であっても,裁判員6名のうち5名が無罪の意見であれば,①過半数に達せず無罪判決となります。
裁判員6人全員が有罪の意見であっても,裁判官3名が無罪の意見であれば,②双方の意見が含まれていないので,やはり無罪判決となります。
有罪の場合で刑の重さを決める場合,①②になるまで,被告人に③最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加えて決めることになります。
例えば,懲役6年の意見が裁判員1名,懲役5年の意見が裁判員1名,裁判官2名,懲役4年の意見が裁判官1名,裁判員2名,懲役3年の意見が裁判員1名だったとします。
懲役6年は①を満たさないので,③その意見だった裁判員1名を次に軽い懲役5年の意見に加えます。
なお①を満たさないので,③懲役6年,5年の意見を懲役4年の意見を加え,①②を満たすので,懲役4年と評決することになります。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾