刑事弁護ブログ

2017.08.30 刑事弁護コラム

「DNA鑑定」の話

犯罪の捜査や刑事裁判の証拠として、DNA鑑定は、重要な役割を果たしています。
現在、警察(科捜研)が標準的に用いているDNA鑑定の検査方法を使った場合、検査したDNAの型が全て一致する確率は、最も出現頻度の高い組み合わせでも4兆7000億人に1人程度になると言われています。同じ型の組み合わせは、地球人口の何百倍の人を探しても他にはいないということですから、計算上は、別人であることはありえないということになります。
しかし、いくらDNA鑑定の技術が進んでも、それを用いるのは人間ですから、必ず間違いはあります。検査の課程で誤って無関係の人のDNAが含まれた体液や微物が混入してしまうという可能性も否定できません。また、仮に現場から発見されたDNAが一致していても、事件とまったく無関係な機会に残されたものであるということもあります
「これがあれば100%間違いない」などと考えられる証拠はありません。間違った判決を下さないためには、裁判員や裁判官が、ひとつひとつの事実や証拠を予断や偏見をもたずに、丁寧にみていくしかないのだといえます。

法律事務所シリウス 虫本