刑事弁護ブログ

2018.01.17 刑事弁護コラム

「損害賠償命令制度」って何ですか

被害者の方がいる事件を起こしてしまった場合には、当然のことながら、被害者の方から損害賠償をするよう求められることが多々あります。

1.刑事手続の中で、示談交渉をする(弁護人と被害者またはその代理人の間で話合いをする)
2.民事訴訟を起こす
という方法の他に、
3.損害賠償命令手続を利用する
という選択が可能なケースがあります。

この損害賠償命令という制度はあまり聞き慣れないかもしれません。
これは、一定の罪名の事件(殺人や傷害、強制わいせつ、強姦、逮捕・監禁、略取、誘拐、人身売買など)で利用できる制度です。
対象となっている事件の刑事裁判の弁論の終結までに(ざっくり言うと判決の1回前の期日まで)被害者の方が申立てをすると、刑事裁判が終わったあと引き続き、同じ裁判官が損害賠償の金額についても決めることになるという制度です。
刑事裁判での証拠がそのまま損害賠償の証拠となる他、審理もごく短いもの(原則4回まで)で終わることになります。
決定に対して、異議を言うことはでき、その場合は、通常の民事裁判に移行します。

刑事裁判が行われた後、すぐに手続が始まることになるということには特に留意が必要です。
損害賠償命令の申立てがされる可能性が見込まれる場合には、弁護人に対応を相談しておく必要があります。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 久保