弁護士であれば、法律は全部マスターしているとお思いの方は多いのではないでしょうか。残念ながら現実はそうではありません。法律の数は膨大にありますし、弁護士は、必要があればその都度各種法令を調査します。
民事事件であれば、必要な法律や過去の判例などを調査する時間的な余裕があります。通常の民事裁判では、相手側の主張に反論するために1か月程度の期間を与えられる進行となることが多く、法令の調査にかけられる時間は十分にあります。法廷のその場で論争になることはほとんどありません。
しかし、刑事事件ではそうはいきません。たとえば、法廷で検察官が証人に違法な尋問をした。その時には即座に異議を言わなければいけません。民事裁判に比べて、圧倒的に法廷での直接の論争の機会が多いのです。そして、その場で即座に対応できなければ、誤った方向に裁判が進行してしまうことを許してしまいます。法廷で正しく対応するためには、刑事訴訟法そのほか刑事関係法令の正しい理解が必要不可欠です。
正しい法律の理解は、刑事弁護に必要不可欠な弁護技術の一部なのです。
東京ディフェンダー法律事務所 山本衛