刑事手続において,勾留という身体拘束に対して,この勾留を一時的に停止して身体拘束を解く制度があります。
勾留の執行停止という制度です(刑事訴訟法95条)。
保釈は起訴された後の勾留に限られ,保釈金納付が求められるのに対して,勾留の執行停止は起訴後の勾留に限らず,保釈金の納付は不要です。
もっとも,親族等がいつでも召喚に応じ出頭させる旨の書面を提出し委託をうける,あるいは住居が制限されるといった条件が付されます。
勾留の執行停止は,例外的な制度で裁判所が「適当と認めるとき」(刑事訴訟法95条)に執行を停止できるとされています。
実際には,治療の必要,親族の危篤,臨終に立ち会う,冠婚葬祭に出席するといった場合に認める運用がなされています。
もっとも,裁判所が「適当と認めるとき」に認められるもので,必ず認められるものではなく,事案によっては認められない場合もあります。
たとえば,親族の危篤や臨終に立ち会うといった場合,執行停止が認められるようするためには,親族の入院先の他,病状等を明らかにし,緊急性,必要性が高いこと,他方で罪証隠滅や逃亡といった支障がないことを資料とともに明らかにすることが重要です。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾