残念ながら,逮捕された段階では,国選弁護制度はありません。国選弁護人が選任されるのは,裁判官が勾留を決定した事件です(なお,逮捕段階で弁護士と相談したいと思った場合,弁護士会の当番弁護士制度の利用が考えられます。)。
平成30年6月1日以降,勾留されている全事件について,資力がない等の法律の要件を満たせば国選弁護人が選任されます。したがって,暴行罪で勾留され,資力がなければ,国選弁護人が選任されます。
平成30年6月1日より前は,「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」のみが被疑者国選事件の対象でした。したがって,法定刑の軽い暴行罪(「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」刑法208条)や死体遺棄罪(「3年以下の懲役」刑法190条)については,勾留されたとしても,被疑者段階では,国選弁護人は選任されませんでした(それらの事件が起訴されると,起訴後,被告人段階で,国選弁護人が選任されていました。)。
そもそも暴行罪のような法定刑が軽い事件では勾留されずに(在宅事件といわれます。),捜査が続けられることも少なくありません。被疑者国選制度は,勾留されている被疑者が対象であるため,そのような在宅事件では,被疑者段階で国選弁護人が選任されることはありません。
法律事務所シリウス
菅 野 亮