刑事弁護ブログ

2018.12.12 刑事弁護コラム

法廷通訳と刑事裁判

外国語を母語とする被告人の刑事裁判では,裁判所が法廷通訳を選任します。そして,冒頭陳述,証人尋問,被告人質問,最終弁論といったすべての場面で,通訳が行われます。
その中でも,通訳の正確性が特に重要となるのが,証人尋問や被告人質問です。これらの場面では,その場で証人や被告人が外国語で答え,それが通訳された結果が,そのまま裁判の証拠になります。通訳の誤りは,時として,裁判の結果を左右する重大なものにもなりかねません。
一方で,法廷で実際にやり取りされる質問や答えを,すべてミスなく正確に通訳することも,容易な作業ではないと考えられます。法廷通訳には,非常に高いレベルの能力が求められているといえるでしょう。

特に,事実の存否が厳しく争われている否認事件の場合には,弁護人としても,通訳の正確性を担保する必要があります。
例えば,実際の裁判では,弁護人が別の通訳人に依頼をして,公判審理を傍聴席などから聞いてもらい,法廷通訳の正確性をチェックすることもあります。
不正確な通訳により誤った判断がなされることを防ぐために,弁護人にも工夫が求められます。

法律事務所シリウス 中井淳一