道路上に残された黒いスリップ痕。
ほとんどの人が目にしたことがあるはずです。
私たちの日常に違和感なく存在するものですが,これが,交通事故事件の刑事裁判では重要な意味を持つことがあります。
スリップ痕の長さから,急ブレーキを始めた時点で,その自動車がどのくらいのスピードだったかが分かることがあります。刑事裁判では,自動車が事故前に出していたスピードが重要な争点になることも多いため,スリップ痕が決定的な証拠になり得ます。
ただし,スリップ痕の長さの計測が正確にされているかは,注意が必要です。スリップ痕は,端の部分が薄くなっていることも多く,計測の仕方によって異なる数値になることもあり得ます。
また,スリップ痕は,時間の経過と共に見えなくなってしまう可能性もあります。交通事故が起きた際には,速やかに現場の状況を保全することが重要となります。
法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一