勤務中の公務員に暴行を加えた場合,単なる暴行罪ではなく,公務執行妨害罪が成立する場合があります。
公務執行妨害罪の法定刑(3年以下の懲役等)は,暴行罪の法定刑(2年以下の懲役等)よりも重くなっています。これは,公務員による公務の円滑な執行を保護する必要性が高いためと考えられています。
ただし,勤務中の公務員に対する暴行であっても,公務執行妨害罪が成立しない場合もあります。刑法上の保護に値する「公務」に含まれるためには,公務員が行っていた業務が適法であることが必要とされています。
過去の裁判では,警察官による違法な職務質問などの場合には,公務執行妨害罪における「公務」には当たらないと判断された事例があります。
法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一