刑事裁判において,現在の制度では,自分が希望する弁護士を自由に国選弁護人に選任してもらうことはできません。
自分が希望する弁護士を弁護人とするためには,自分で費用を負担して弁護士に弁護を引き受けて受けてもらい,私選で弁護士を選任する必要があります。
控訴審の国選弁護人も同じです。自分が希望する弁護士を自由に国選弁護人に選任してもらうことはできません。
もっとも,控訴審の裁判所が審理のために特に必要であると認める場合には,第一審の国選弁護人が,控訴審でも国選弁護人に選任される可能性があります(刑事訴訟規則29条3項)。
第一審の国選弁護人が控訴審でも国選弁護人となることは,弁護士が既に事案や証拠内容を十分把握しているといえ,裁判を受けているご本人としても最初から事情を説明することは不要です。
他方で,控訴審では別の弁護士が国選弁護人となることで,第一審の国選弁護人とは別の視点で事案や証拠を検討されうると言え,双方にメリット,デメリットが考えられます。
具体的な手続としては,弁護士から審理のために特に必要があることを明らかにする書面を裁判所に提出し,裁判所が引き続き控訴審でも国選弁護人に選任することを認める可能性があります。
しかし,このように裁判所に書面を提出して求めても,必ず第一審の国選弁護人が控訴審でも国選弁護人に選任されるとは限りません。
裁判所は認めず,別の弁護士が国選弁護人に選任されることも十分あります。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾