刑事弁護ブログ

2020.07.15 刑事弁護コラム

証拠書類の差し入れ

起訴がされてしばらくすると,検察官から証拠の開示がされます。弁護人や被告人は,捜査段階では見ることができなかった証拠書類,あるいは証拠物をはじめてみることができます。当然のことながら,適切な弁護方針を立てるためには,このような証拠書類を細部についてまで検討し,弁護人と被告人が議論を尽くすことが欠かせません。弁護人にも見落としがないわけではありませんし,当事者本人の視点は,証拠を正確に分析するためにも非常に重要です。

 検察官から証拠の開示を受けて,謄写を完了しても,依頼者である被告人に記録を差し入れない弁護人もいます。このようなやり方は,被告人が自分自身の裁判についての証拠をチェックする機会がないというだけでなく,証拠の記載や写真などと被告人の記憶を照らし合わせて検討する機会も放棄するもので,決して望ましいとは言えません。証拠書面に記載された,関係者のプライバシーに関する保護等については,弁護人も配慮する必要がありますが,証拠書類自体を差し入れない理由になるとは考えられません。
 もし弁護人から何も証拠書類を見せてもらっていない,という場合は,すみやかに証拠のコピーを差し入れるよう要請するべきです。

東京ディフェンダー法律事務所  赤木竜太郎