刑事弁護ブログ

2021.04.27 刑事弁護コラム

取調べの弁護人立会

日本の刑事手続においては,取調べに弁護人が立ち会うことは保障されていません。
 逮捕勾留された被疑者は私選又は国選で弁護人を選任することができ,弁護人と接見をして相談することがもちろんできます。
 しかし,警察や検察官の取調べに弁護人が立ち会うことができません。
 取調べは,捜査機関が圧倒的なマンパワーと強制力で証拠を集め,その上で取調べを行いますが,被疑者や弁護人は起訴されるまでその証拠を見ることができません。
 情報が圧倒的に偏っている中で,一方的に取調べを受け,そこでの供述が起訴や有罪に大きな影響を与えてしまいます。
 また,捜査機関は逮捕した人が犯人であると思い込む傾向にあり,何とか自白させようと圧力をかけてきます。
 そのような取調べにおいて,弁護人の助言なく適切に応答することは,ほとんど不可能というべきです。
 従って本来被疑者の援助者である弁護人を取調べに立ち会わせ,適切な助言を受けながら取調べに応じさせるべきで,日弁連は,弁護人の立会を法律上の権利とすべく,長年活動を続けています。
 そのため,取調べで不当な供述を避けるため,黙秘権を行使するという方針をとらざるを得ない場合が多くなるのです。

 なお,在宅の被疑者は,そもそも取調べを受けるか否かの選択権があり(拒否することが可能),弁護人が立ち会えるケースや,弁護人が取調室の近くで待機し,何かあれば相談する,というケースもあります。
在宅の場合には,弁護人と相談して,立会を求めてみてもいいでしょう。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也