刑事弁護ブログ

2021.09.28 刑事弁護コラム

取調べ内容を想定する

逮捕されると警察官や検察官の取調べを受けます。
犯罪事実に争いがある場合,自分の言い分を述べれば取調べが済むというものではありません。
自分の言い分を述べたとしても取調べは終わらず,犯罪が成立することを疑われて追及を受けることになります。
こうした取調べに適切に対応するためには,取調官の立場に立ってどのような追及を行うのか,取調べを想定することが重要です。

例えば,殺人で逮捕され殺意が争われている事件において,殺意が認められるのは予め相手を殺害する計画や意図があった場合に限りません。
とっさに行った行為であっても,人が死ぬような危険な行為であると分かって行ったと認められる場合にも殺意が認められます。
取調べで殺すつもりはなかったことを説明しても,さらに人が死ぬような危険な行為であることは分かったといえるような事情について,さらに追及を受けることが想定されます。

例えば,刃物で相手を傷つけたといった事件では,殺すつもりはなかった,とっさに行ったとしても,傷つけた場所が悪ければ出血多量になって死亡させてしまうような危険があったのではないか等と追及されることが想定されます。
実際には当時そうした認識まではなく殺意がなかったとしても,取調べで追及されて認めることで,刑事裁判で殺意が争えなくなる可能性があります。
犯罪事実に争いがある事件において,取調べ内容を想定して適切に対応することが重要と言えます。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾