刑事弁護ブログ

2021.10.12 刑事弁護コラム

会社の従業員の弁護を顧問弁護士に頼む?

会社の従業員が逮捕された。
 こんな時、どうすべきでしょうか。
 企業の経営者の皆様は、普段相談する弁護士がいたり、企業の顧問弁護士がいたりすることも多いでしょう。こうした弁護士に頼むべきでしょうか。
 もちろん信頼関係があるので、それも一つの方法かとは思います。しかし、従業員が逮捕された、という場合は、もし逮捕された事実が真実だった場合、会社としては従業員の処分も検討しなければいけません。そうすると、会社の利益を守るべき立場の弁護士が従業員の弁護をもするということは、会社の利益と従業員の利益が対立するということになりかねません。従業員側から見ても、たとえば逮捕された事件に関して、会社に知られたくないこともあるでしょうから、弁護士に事実を告げにくくなります。そうすると、ベストな弁護はできません。
 したがって、会社の弁護士が従業員の弁護をするというのは、基本的には、望ましいことではありません。
 私も、企業顧問などをやっている一方で刑事事件にも力を入れていますが、もし自分の顧問先の従業員にそのようなことがあった場合には自分は担当しない(信頼できる別の弁護士を紹介することはある)でしょうし、逆に、他の弁護士の顧問先の従業員が逮捕された場合に紹介を受け、他の会社の従業員の弁護を担当することもあります。企業の経営者としては、一応、意識しておきたい問題です。

弁護士山本衛