異議あり!誘導尋問です!
というような場面が刑事裁判の法廷ではよく見られます。
刑事訴訟規則第199条の3 第3項
主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
① 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
② 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
③ 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
④ 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
⑤ 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
⑥ 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
⑦ その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
このように,刑事訴訟法では,主尋問について誘導尋問が原則禁止となっています。反対尋問では禁止されていません。
誘導尋問とは,質問者が問いの中に答えを入れて尋ねる,いわゆるクローズドな質問のことです。(例えば,「犯人の男は包丁を持っていましたね?」「はい」というような問答です)
誘導尋問は,質問者が求める答えを問いに入れてしまうため,証人は,はい,か,いいえ,で答えればよく,本当にその記憶があるのか,単に質問者に合わせているだけなのかの判別が困難になります。
従って,自らの側の証人に質問しようとする場合の主尋問では,誘導尋問が禁止されます。
そこで,主尋問で尋問者が誘導尋問をした場合に,反対尋問をしようとしている当事者が,異議を出すことになるのです。
東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也