刑事弁護ブログ

2022.07.11 刑事弁護コラム

取り調べに対してありのまま話すべきか

警察や検察から逮捕されて取調べを受けるのに対して,無実であればありのまま話せばいい。取調べを受けて,そのように思うのも普通の感覚だと思います。
しかし,その感覚は間違いです。
ありのまま話せばいいとして取り調べを受けることで,無実の罪で刑事裁判を受け,有罪となってしまう危険があります。

過去の出来事について記憶がなかったり,記憶違いしている可能性があります。
記憶のとおりでありのまま話すことで,実際には客観的には間違った話しをしてしまう可能性があります。
警察や検察は,逮捕して取調べをする以上,有罪であると疑って取調べを行い追及します。
記憶がないことについて,取調べで追及され続けることで間違った記憶に変わってしまい,事実と異なる話しをしてしまう可能性があります。

法律的な評価が問題となる場合,一般の人にとって,どのような場合に有罪となるのか分からないのが普通だと思います。
むしろ,一般の人の感覚で無罪だと思う内容であっても,実際の刑事裁判では有罪とされてしまう可能性があります。
例えば,詐欺とは知らされずにだまされて振り込め詐欺の現金を受け取る役に利用されてしまった場合,刑事裁判では,受け取る時にあやしい,おかしいとは思っていた等でも詐欺の故意が認められて有罪とされてしまう可能性があります。
取調べで追及され続けることで,このような有罪とされるような内容を認めさせられてしまう可能性があります。

こうした取り調べで作成された自分の供述調書は,自分の裁判で証拠能力や信用性を争うことが困難です。
裁判で真実を話しているのに,取り調べで作成された自分の供述調書と異なる内容であることで,裁判で話している真実の話が信用されない危険があります。

こうした取調べに対して一番有効なのは,取調べに対して黙秘することです。
実際の取調べに対してどう対応するのかは弁護士の助言を受けることが重要です。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾