刑事弁護ブログ

2022.08.22 刑事弁護コラム

刑事事件とワークライフバランス

刑事事件を担当していると,正直なところ,平日の9時から5時まで働いて,残りは休暇ということにはなりません。コロナウィルス感染症の影響で,テレワークやワーケーションが増えていますが,刑事事件を担当する限り,実際に,依頼者と接見するために警察署に行き,裁判になれば法廷にいなければなりませんので,テレワーク等で全ての業務を行うことは制度上難しいです(なお,法務省の検討会で,接見のオンライン化や刑事裁判のIT化等の議論がされていますので,将来どうなるかは分かりません。)。

年末年始でも,身柄事件があれば,取調べも行われますし(さすがに大晦日や元旦は,当日の現行犯逮捕事案でもない限り,取調べも行われないことが多いです。),刑事事件の依頼は予期しないタイミングで来ますので,なかなか計画的にお休みをとることも難しいです。

拘置所や刑務所は,年末年始は役所と同じスケジュールなので,お役所がやっていない期間は原則として接見もできませんが,警察署は,年中無休ですので,休日,夜間,早朝から接見することも少なくありません。

千葉などの地方で弁護士をしていると,国選弁護(千葉の場合は,1週間待機です。)や当番弁護がそれなりの件数まわってきます。リーガルサービスの割り当てなので,機械的に配点されるのですが,12月31日に当番弁護士として待機したり,1月1日に国選弁護人に選任されて,正月そうそう警察署にでかけたこともあります。

もちろん刑事事件だけでなく,大型倒産事件の破産管財人に選任されたタイミングで一時的に休みがとれないことや急ぎの執行・保全事件などの依頼があり,夜遅くあるいは早朝から起案等することもよくありますので,計画的にお休みがとりにくいのは,刑事事件だけに限られた話しではありません。

しかし,適切なタイミングで接見に行くことも,正しく休暇を取り,仲間と山に行く時間をとることも,人生では等しく大事なことだと思います。これからは,事件について手抜きすることなく対応しつつ,うまく時間を使うことを考えながら生活していきたいと考えています。弁護士を20年ほどやっていますが,それが自分なりのワークライフバランスなのかなと感じています。

法律事務所シリウス
弁護士 菅 野 亮