防犯カメラ映像や、携帯電話で撮影された映像などの動画が、重要な証拠となることがあります。多くの場合は、捜査機関がそれらの動画のデータを保有しており、弁護人はそのような動画データそのものの開示を請求し、開示を受けて、動画を分析することになります(弁護人が開示を請求しなければ、動画そのものが自発的に開示されず、動画を写真に分解して報告書にしたものしか開示されないこともあります)。
重要な証拠なのであれば、弁護人はそのような映像証拠を徹底的に分析しなければなりません。これは単に繰り返し再生して眺めるということだけを意味しません。たとえば、映像がノイズ等により不鮮明なのであれば、専門の業者に依頼する等してノイズを除去したり、画面の色調を変更すること等によってできる限りの鮮明化を図ります。
また、動きを読み取る際に有効なのが、「コマ割り」にする方法です。専門のアプリケーションを用いて動画を1秒に10コマ程度に分割し、コマ割りにした静止画を比較しながら、動きの細部や先後関係を分析することができます。このような分析結果は、たとえば並べて表示しながら説明したり、画像を拡大して裁判官に見せるなどの方法で活用することができ、弁論などでも効果を発揮します。
映像等の客観的証拠は、それがこちらの主張に沿う内容なのであれば、事実を争う事件で絶大な威力を発揮します。そのためには、証拠の細部について粘り強く分析をする必要があるのです。
東京ディフェンダー法律事務所 赤木竜太郎