刑務所を出所した人に対して、保護観察所や地域生活定着支援センター(各都道府県に設置)等が、新たな居住先の確保や必要な福祉サービスの利用を受けるための支援を行うことを「出口支援」と呼んでいます。
これに対して、もっと前の段階、すなわち、刑事事件の被疑者・被告人とされてしまった人が刑事裁判で実刑判決を受ける前の段階での支援を「入口支援」と呼んでいます。「入口支援」は、被疑者・被告人とされた人が、高齢であったり、何らかの障害を有するという場合に、特に必要性が高いといえます。
そのため、弁護士或いは弁護士会は、高齢者や障害者に対する「入口支援」を行うための様々な取り組みを進めています。具体的には、地域生活定着支援センターや社会福祉士会等と協定を結び連携するための制度を構築したり、司法と福祉が連携した実践例や問題点を共有するための勉強会や研修等を定期的に開催するなどしています。また、多くの弁護士会は、障害の特性や福祉専門家等との連携のノウハウ等について学ぶ特別な研修を受講した弁護士だけが掲載される「名簿」を作成し、障害者が被疑者・被告人となった事案は、その名簿から弁護人を派遣するという制度を運用しています。
法律事務所シリウス
弁護士 虫本良和