刑事裁判を含む、すべての裁判は公開されていることが原則です。これは、裁判手続の公正さを保つために重要であり、国際的にも広く認められた法原則であると考えられます。
我が国では、裁判手続自体は誰でも傍聴が可能であり、刑事裁判も、もちろん傍聴の対象となります。しかし、傍聴中に録画や録音をすることはメディアも含めて許されておらず、刑事裁判中の法廷でのやり取りなどが動画として公開されることはありません。
一方、特に英米法圏の国では、刑事裁判の様子をオンライン等で配信することは、珍しくなくなりつつあります。アメリカでは、州によっては、著名な刑事裁判の様子がＹｏｕＴｕｂｅで逐一配信されている場合もあります。イギリスでも、高等裁判所の手続等は、オンラインで広く視聴することができるようになっています。
テクノロジーが発達した現代において、裁判の公開というものが、裁判所での傍聴のみを意味するのかということについて、再考が必要な時期なのかもしれません。
法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一