刑事弁護ブログ

2024.08.27 刑事弁護コラム

保釈に関する新たな制度(報告命令制度等の新設)

令和5年5月に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律により、保釈に関する新たな制度が創設されました。報告命令制度は、令和6年11月15日から施行されています。

改正されたポイントは多岐にわたりますが、ここでは、「保釈等をされている被告人に対する報告命令制度」の説明をします。

新法では、「裁判所は、被告人の逃亡を防止し、又は公判期日への出頭を確保するため必要があると認めるときは、保釈を許す決定又は勾留の執行停止をする決定を受けた被告人に対し、その住居・労働又は通学の状況、身分関係その他のその変更が被告人が逃亡すると疑うに足りる相当な理由の有無の判断に影響を及ぼす生活上又は身分上の事項として裁判所の定めるものについて報告をすることを命ずることができる」定めが規定されています(報告命令制度)。

裁判所は、被告人に対して、以下のような報告命令を発することになります。

1 裁判所の指定する時期に、当該時期における当該事項について報告をすること
2 当該事項に変更が生じたときは、速やかに、その変更の内容について報告をすること

また、裁判所は、必要と認めるときは、被告人に対して、裁判所の指定する日時及び場所に出頭してすることを命ずることができるとされています。

そして、報告がなかった場合には、裁判所は、そのことを検察官に通知することになりますので、検察官から保釈の取消請求等がなされる可能性があります。

報告命令制度がどのような事件で利用され、利用される場合にどのような報告事項が命じられるか、あるいはどこへの出頭が命じられることになるのか等、これからの実務運用の中で明らかになってくると思いますが、被告人に報告命令がでた場合には、それを失念等することがないように弁護人としてもフォローが必要になってくるかと思われます。

法理事務所シリウス
弁護士 菅 野 亮