刑事弁護ブログ

2025.03.31 刑事弁護コラム

罪状認否で何をはなすか(被告人)

刑事裁判の第1回公判期日では、まず最初に冒頭手続というものが行われます。
冒頭手続で行われることは、以下の4つです。
① 人定質問
起訴された被告人で間違いないかどうかの確認です。名前、本籍、住居、年齢、職業、(国籍)などが確認されます。
② 起訴状朗読
検察官が起訴した公訴事実(犯罪事実)と罪名及び罰条(刑法○条等)を朗読します。
③ 黙秘権告知
裁判官が、被告人に対し、言いたくないことは言わなくていいが、法廷で供述したことは有利にも不利にも証拠になる、という黙秘権の説明をします。
④ 意見陳述
事件について被告人、弁護人に意見を聞くものです。
この起訴状に書かれた公訴事実に対する被告人、弁護人の意見を通称罪状認否と言われています。

罪状認否について、具体的には、「今検察官が読んだ起訴状の事実について、どこか違うところはありますか?」「公訴事実について、何か言っておきたいことはありますか」などと聞かれます(圧倒的に前者の聞かれ方をします)。

「間違いありません」「私はやっていません」などと言えば、起訴された犯罪事実を認めるのか争うのかがはっきりしますので、それを前提に裁判は進められていきます。

ただし、公訴事実自体が複雑なものであったり、間違いないところと争うところが混在しているようなケースであると罪状認否でどのように話すかは一概には決められません。
どのように意見を述べるのがよいかは、弁護人とよく打ち合わせる必要があります。
なお、意見陳述は権利であって義務ではないので、留保したり、黙秘したりすることも当然にできます。
なお、裁判官によっては、被告人が何か発言したことに対して、重ねて「現場にいたことは間違いないか?」「被害者が怪我を負ったことは争わないということでいいか」などと質問してくるケースがあります。
ここで注意しなければならないのは、この罪状認否での発言も証拠になるということです。その場で検察官から質問されることはありませんが、裁判官からの質問に答えた発言も有利にも不利にも証拠になるので、あらかじめ質問された答えるかどうか、答えるとしてどう答えるかは準備しておく必要があります。

(参照条文)
刑事訴訟法291条 5項
裁判長は、第一項の起訴状の朗読が終わつた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也