刑事弁護ブログ

2016.08.22 刑事弁護コラム

控訴審における保釈

一審で実刑判決を受けた場合,一審で保釈が認められていても実刑判決の言い渡しで再び勾留され身体拘束を受けることになります。
控訴して無実を争う,実刑は重すぎると量刑を争う。そのように控訴審を行っていくにあたり,控訴審が続く間,身体拘束が続くことが支障となってしまうものだと思います。
そのように控訴審を行うにあたって保釈の手続がどうなるかお話しします。

一審判決後の保釈請求は,記録がまだ一審の裁判所にあるときは一審の裁判所が担当し,保釈を認めるかどうか判断します。
記録が既に高等裁判所に移っている場合は,高等裁判所が担当し,保釈の判断をすることになります。
一審判決後の保釈請求は,必ずしも先に控訴した上で保釈の請求をしなければならないものではありません。
一審判決後,控訴する期限は一審判決の翌日から2週間以内とされており,その期間に内に控訴する前であっても保釈の請求をすることはできます。

一審の保釈は,裁判所が裁量で認める場合(刑事訴訟法90条)の他,権利保釈といって一定の条件を満たすのであれば保釈を認めないといけないとされています(刑事訴訟法89条)。
しかし,一審判決後の控訴審における保釈は,一審の実刑判決の言い渡しで逃亡するおそれが高まると考えから法律上このような権利保釈はなく,裁判所が裁量で保釈を認めるよう求めることになります。

控訴審で保釈を求める場合,一審の保釈と同様,保釈が認められるべき必要性,逃亡や罪証隠滅のおそれがないことなどを具体的に主張するとともに,そのような事情を明らかにする資料等を請求書に添付して提出します。

保釈が認められた場合,裁判所が定める金額の保釈金を裁判所に納めることで,身体拘束が解かれることになります。
保釈金の金額は,一審で決められた保釈金の金額より5割程度増額されるのが通常です。

東京ディフェンダー法律事務所 藤原大吾