弁護事件例

2017.05.02 【交通犯罪】危険運転致死

危険運転致死罪よりも軽い過失運転致死罪の成立が認められ、執行猶予付の判決となった事件

一部無罪
裁判員
否認
在宅

事案の紹介

対面信号が赤色となっていた道路を走行中に、交差道路を走行中の二輪車に自車を衝突させて相手運転手を死亡させたという事例。

弁護活動

担当弁護士は、私選弁護人として受任しました。

依頼者(20代 男性)は、通勤途中の道路で、死亡事故を起こしてしまいました。
依頼者は、赤色信号に気付かないまま運転しており、赤信号に気付いた地点では、もはや急ブレーキをかけても安全に停まれない状態でした。そのため、少しでも早く交差点を通過しようと考えて侵入したところ、交差道路を進行してきた二輪車と衝突してしまったという事故態様でした。
弁護人は、赤色信号を「殊更に」無視したことを争い、危険運転致死罪ではなく、過失運転致死罪が成立することを主張しました。
検察官は、事故後に現場で行われた実況見分の際に、依頼者が「赤信号に気付いた」と説明した地点が正確であることを前提に、その地点で急ブレーキをかけていたら停止できなはずだという主張をしました。しかし、判決では、実況見分を担当した捜査官の証人尋問や被告人質問の内容から、実際には依頼者がもっと交差点に近づくまで赤信号に気付かなかった可能性が否定できないとして、危険運転致死罪の成立を否定しました。

そのうえで、裁判所は、依頼者が、誠意をもって被害弁償等を行ってきたことや今後の更生が期待できることなどから、執行猶予付きの判決を言い渡しました。